3.TMO構想(中小小売商業高度化事業構想)について(法第18条等)

Q28 TMO構想の趣旨とそのねらいは何ですか。
A28
 TMO構想(中小小売商業高度化事業構想)は、中小小売商業高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想です。これは、いわば中心市街地商業活性化の全体計画であり、その内容の具体化にあたっては、中心市街地の商店街等中小小売商業者を始めとする関係者のコンセンサスの形成や、詳細なマーケティング調査の実施等が必要不可欠であるなどの実状があるため、市町村の作成する基本計画との整合性を有しつつ、地元商業の状況に精通した者(商工会、商工会議所、3セク特定会社、3セク財団法人)が別途事業構想として作成することとしたものです。


Q29 TMO構想を作成できるのはどのような場合ですか。また、TMO構想を作成できる主体にはどのようなものがありますか
A29
 市町村の基本計画において中小小売商業高度化事業に係る事項①当該事業の対象とすべき商業集積(概ねの実施区域)、②当該事業の目標(当該事業の趣旨)が記載されている場合にあっては、一定の主体がTMO構想を作成し市町村の認定を受けることができることとなっています。
 ただし、現実の作業としては基本計画の作成と平行してTMO構想を作成するようなことも想定されます。
  主体としては、現在、商工会、商工会議所又は特定会社若しくは公益法人であって政令で定める要件に該当する者となっていますが、特定会社にあっては発行済株式総数の3/100以上の地方公共団体からの出資、公益法人であっては財団法人であってその基本財産の3/100以上が地方公共団体により拠出されていることが要件となっています(政令第8条:中小小売商業高度化事業構想の認定を申請をすることができる者の要件)。
 なお、特定会社とは中小企業者が出資している会社であって政令で定められている要件に該当する者となっています(法第4条第5項第7号、政令第4条参照。本問については、さらに、あわせてA55、A47、A72も参照して下さい。)。


Q30 TMO構想を基本計画より先に作っても良いのですか。
A30
 法律においては、市町村の基本計画において中小小売商業高度化事業に係る事項①当該事業の対象とすべき商業集積(概ねの実施区域)、②当該事業の目標(当該事業の趣旨)が記載されている場合にあっては、一定の主体がTMO構想を作成し市町村の認定を受けることができることとなっています。
 従って、正規のTMO構想の作成・認定は基本計画の作成後行われることとなりますが、その事実上の作業を基本計画の作成以前からあらかじめ進めたり、同時並行で進めていくことは可能です。


Q31 TMO構想の記載事項は何ですか。
A31  TMO構想には、TMO(認定構想推進事業者)となろうとする者の名称のほか、中小小売商業高度化事業に関して、各事業ごとに次のことを記載します。
① 当該事業の種類(内容、種別等)
② 実施予定者
③ おおむねの位置または区域
④ おおよその実施時期
⑤ この事業を実施することにより見込まれる効果

  また、その他関連する事項(TMO(認定構想推進事業者)が行う事業等)を記載します。
なお、①についてはA3A41を参照して下さい。


Q32 既着手事業はTMO構想に記載できますか。
A32  既着手事業をTMO構想に記載することを妨げることはありませんが、仮に記載したとしても、既着手分については、支援の対象にはなりません。
 他方、既着手事業と関連するものでも、既着手事業とは独立しており、新規の事業と認められるものは、構想等に記載されれば、本法に基づいて助成措置を受けることが可能です。


Q33 TMO構想を作成する場合等の留意点は何ですか
A33  TMO構想にはA31に掲げる事項を記載することとなります。
基本方針においては留意事項として以下のように定められています。
ア 想定すべき期間
商業集積の業種構成・店舗配置の改善等には相当の期間を要することが一般的であることから、おおよそ五年から十年程度の期間を想定したものとすべきである。
イ 事業内容
事業構想の内容は、①中心市街地に存する商店街等の商業集積の大半を対象とすること、②当該商業集積全体における業種構成や店舗配置の計画性の確保・向上を図ることが必要であり、それぞれの事業は、そのような全体の構想の一環として進められることが望ましい。
 (基本方針二 2の1の1(3)①)
さらに策定にあたっては、
・TMO構想は中小小売商業高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想であること
・TMO構想が基本計画の内容と照らして適切かつ実施可能であること、
 にも留意し、
 中小小売商業高度化事業をTMOとなろうとする者と共同で実施すると見込まれる者の意見を十分に聴いた上で作成することが必要です。
 さらに、基本方針において、推進体制として、事業の確実な実施を図るためには、市町村においては関係部局間で十分な連絡調整を行うことが重要であり、事業構想の策定・推進に当たっては、商店街関係者はもちろんのこと、域内の大手小売業者を含めた幅広い関係事業者間のコンセンサスの形成に努め、地域住民の代表者の参画を得ることが望まれています(基本方針二 2の1の1(3)②)。                       
A29A31参照)


Q34 TMO構想はどのくらいの期間を想定して作成するのですか。
A34  基本方針においては、おおよそ5~10年程度の期間を想定することとな
っていますが、TMO構想は活性化のために実施する予定の事業の概要を記載するものであり、事業については、事業の実効性を勘案し、4~5年程度の期間内に実施する予定がある事業を記載することを想定しています。


Q35 TMOの担当するエリアは。
A35  TMOは、中心市街地の商業全体の活性化を図ることを目的として活動することが期待されますので、中心市街地の全域がその担当エリアです。
 ただし、TMO構想については、基本方針において、中心市街地に存する商店街等の商業集積の大半を対象とすること等が必要とされており、これらをみたす限りにおいて、現実には中心市街地の一部が対象外となってもさしつかえありません。
なお、TMOは一の中心市街地につき1つであることに留意して下さい。


Q36 TMO構想を市町村が認定する場合の留意点は何ですか。
A36  市町村はTMO構想の認定の申請があった場合において、そのTMO構想が基本計画の内容に照らして適切なものであり、かつ当該TMO構想に係る事業が実施可能であると認めるときは、その認定を行うこととなっています。留意点は以下の通りです。
①TMOの主体要件を満たしているか
②事業を共同で実施すると見込まれる者の意見を聴いているか
③TMO構想の記載事項が記載されており、内容について基本方針にしりがったものとなっているか(A31、A33参照)
④中小小売商業高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想となっているか
⑤基本計画の内容と照らして適切なものであり、かつTMO構想に係る事業が実施可能か
 なお、市町村がTMO構想の認定を行った場合は遅滞なく公表することとなっています。公表の方法としては公報に掲載する等の方法が考えられます


Q37 TMOは法律的にどう位置付けられますか。
A37  TMOという用語は法律上の用語ではありませんが、法第19条第1項において認定構想推進事業者という用語あり、基本方針においては「認定構想推進事業者、いわゆるタウンマネージメント機関(TMO)」という記載がされています。
 TMOとは、TMO構想を作成し、この構想について適当である旨の市町村の認定を受けた認定構想推進事業者のことです。
 TMOがTMO計画の作成や事業の実施に果たす役割についてはA41A3を参照して下さい。


Q38 TMO構想の変更はできるのですか。
A38  市町村の認定を受けることにより、TMO構想の変更は可能です。
 TMO構想の変更を行う場合としては、新たに商店街整備の事業が計画されるような場合や想定していた事業の一部が実施できなくなってしまうような場合、基本計画の変更により、TMO構想の内容に影響が及ぼされる場合などが想定されます。
 なお、市町村はTMO構想の変更の認定を行った場合は遅滞なく公表することとなっています。公表の方法としては公報に掲載する等の方法が考えられます。


Q39 TMO構想の取消しはできるのですか。
A39  市町村は認定を行ったTMO構想について、TMO構想に係る事業の実施が不可能となったと認めるときは当該TMO構想の認定を取り消すことができます。
 なお、市町村はTMO構想の認定の取り消しを行った場合は遅滞なく公表 することとなっています。公表の方法としては公報に掲載する等の方法が考 えられます。


Q40 TMO自体の交代はありうるのですか。
A40  TMO構想は「中小小売商業高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想」であり、当該構想の認定を申請した者が、構想を推進していくことを前提として市町村はその構想を認定するものであることから、TMO(認定構想推進事業者)が途中で変わることは想定していません。
 やむを得ない特殊な事情によりTMOが変わる場合、市町村が、当該TMOの作成したTMO構想の認定を取り消し、かつ、新たにTMOになろうとする者が作成するTMO構想の認定を行う手続きが必要となります。
 これにより、例えば、既に認定を受けているTMO計画は、認定を取り消されたTMO構想に記載されている中小小売商業高度化事業について作成されたものとなること等から、当該TMO計画やこれらに関連する事業等の取り扱い等について問題が生じることが予想されます。
 このような事態が生じる恐れがある場合は事前に十分な余裕をもって通商産業局等に相談することをおすすめします。