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「あきんどPLAZA」の事務局です。今年度第13号のメルマガです。 さて、1月25日は日本の最低気温を記録した日(明治35年、北海道旭川市)ですが、その他に「ホットケーキの日」という記念日にもなっています。これは、日本最低気温の日に因み、寒い日にはホットケーキを食べて暖まってもらおうと制定されたそうです。ホットケーキといえば今でも喫茶店やファミリーレストランなどの定番メニューですが、昭和生まれの40代以上の方はなんとなく懐かしくレトロな感じがするのではないでしょうか。商店街でもこうした昭和時代の「レトロ」「懐かしさ」を売りにするところが最近多いですね。大分県の豊後高田市、山形県の高畠町、東京都青梅市などには、レトロな世界を懐かしむお客様が多く集まるようです。また、静岡県沼津市の中心商店街では2月3日から12日まで「昭和モダン」をテーマにイベントが開かれるそうです。ストリートギャラリー形式で、各店舗が所有する昭和のお宝や昭和30年代の映画のポスターや上映機器を展示したりするようです。 こうした「懐かしさ」は、皆商店街で楽しい思い出があったからだと思います。今に生きる子供たちが大人になって、「商店街が懐かしい」と思ってくれるようにしたいものですね。 それでは今回は以下のメニューでお届けいたします。 また、このメルマガへのご意見・ご感想も下さいね。
■スペシャリティ型商店街で再生(マニヤンク、フィラデルフィア) マニヤンク地区は、フィラデルフィア中心部より北西へ車で30分位のところに位置し、一帯は郊外型の住宅地である。1960~70年代にかけて周辺にSCが数多く出店し、マニヤンク商店街は完全に崩壊したが、家具やアート関連のショップに特化した非常にユニークなスペシャリティ型商店街として再生したところである。この地区の人口は安定的に増加しており、世帯当たりの可処分所得が高い層が増えている。 マニヤンク商店街は19世紀に始まり、1950年代までは近隣型商店街として成長を遂げてきた。60年代以降、郊外SCの出店により顧客が流出し、店舗は6~7店に減少し商店街は壊滅状態となった。80年代に入り住民や事業者、地主などが中心となり再生活動を開始。85年に事業主体としてニュー・マニヤンク・コーポレーションが結成され、具体的な取り組みが始まる。
■ダウンタウンのイメージ向上(フィラデルフィア) アメリカ東海岸の都市フィラデルフィアは、1682年創設された合衆国誕生の地。独立宣言が採択、初の国会も開催され、初期の歴史が溢れる特別な都市。人口は約140万人で国内5位、都市圏人口では約580万人で国内4位。 商務局は市の経済的な開発について広範なプログラムを持っている。金融政策や税が大きな柱。金融面では低金利、改装や再開発支援など、税金面では中小業者や創業支援など。たとえば、10年間課税凍結、商業やオフィス、住宅など金融、税制面で広範な支援、職業訓練学校支援、州と市の税でビルの開発、スペシャル・ディベロップメント・ゾーンへの支援など。 80年代に入りダウンタウンなど既存の商業集積の再開発や活性化のために、スペシャル・ディストリクトを設立。特定の機能や分野、地域に限定して、課税権など地方政府もしくはそれに準じたステータスを持った組織のことである。ダウンタウン内の特定地区に限定して、地区内の事業者から不動産額に比例した特別税を徴収し、それを財源として地区内の環境整備を行ってきた。こうした制度を活用し、1990年州法に基づき創立されたのが、CCD(Center City District)である。 ダウンタウンは郊外SCの出店や郊外住宅地の開発、郊外への企業進出などで衰退し、犯罪が多く汚い街として環境が悪化してきた。そのため初めは、セキュリティや美化対策に焦点をあてダウンタウンの新しいイメージをつくり、その後、集客や消費の促進につながる共同プロモーション、広告プログラムなどマーケティングに重点を置いた活動を行ってきた。 CCDの具体的な活動は、セキュリティ対策では警察と協力し、地区内の安全と秩序の回復を目指すパトロール体制の整備を行う。この結果、犯罪件数は減少し、治安は非常によくなっている。美化対策では、歩道の清掃やゴミの収集、落書きの消去などの作業を行い、ゴミ箱の設置やホームレスの対策を行っている。マーケティング活動では、ダウンタウンへの来客を促進するためのプロモーション活動から、広告宣伝活動、イベントの企画・コーディネイトなどを行っている。
「個店でも 人が集まる〝場〟になれる」 ■催事の魔力 冬物バーゲンに魅かれるシーズンです。私も、うっかり衝動買いをしてしまいました。 「セール」「バーゲン」「キャンペーン」「○○大会」など、特売やイベントには、お客様を〝うっかり〟ひきつける魅力があります。また、期間限定であることから「いま行かなきゃ!」という気持ちを促します。 普段ご愛顧いただいているお客様への感謝の気持ちも込めて、セールやイベントは年間スケジュールを組んでおきたいものです。 「1年間通じて、売り場も売り方も変化がない」というお店は要注意。移り気なお客様に飽きられてしまいますよ。
「催事=商店街(団体)で行うもの」と思いがちですが、そんなことはありません。セールや特売、プレゼントキャンペーンなど、自店から情報発信して、常に店頭をフレッシュにしましょう。 ■人が集まる〝場〟が誕生~「港南台 タウンカフェ」 横浜市港南区。JR港南台駅から徒歩2~3分のビル2階に、県産材のインテリアが素敵なカフェがあります。セルフサービスで美味しいコーヒーを飲みながら、仲間とわいわい楽しんだり、お買い物やギャラリー鑑賞ができます。 この「港南台 タウンカフェ」を運営するのは、IT関連サービス業の株式会社イータウン。インターネット上の地域ポータルサイト「こうなんだい e-town」を立ち上げ、バーチャルな交流の場を作っていました。「顔と顔を合わせたリアルな交流の場を作りたい」……そんなまちづくりの発想が発展してこのカフェが誕生しました。 ■人が集まる仕組みづくり カフェそのものは入場無料ですが、ここには、「買い物しながら楽しめる」ユニークな仕組みがあります。 *物…「小箱ショップ」 店内の壁面には、アクセサリーや陶器、革工芸などのクラフト作品、パン、お菓子、雑貨など、バラエティ感ある品揃えの小箱ショップが展開されています。木でできた棚は、作品の質感にぴったり。小箱は60個もあり、眺めているだけで楽しく時間が過ぎていきます。 出品者が様子を見にきたり、出品者の人脈により来店者が広がり、小箱ショップには幅広いお客様層が訪れます。 出品者の利用料金は、月額2,000円~4,000円程度(別途販売手数料10%)、お客様の目線に近いゴールデンゾーンは、出品料がやや高く設定されています。
*店…素敵なインテリア&貸しギャラリー 店内はウッディな素材で統一され、空間度が高く、一般のカフェと同等(それ以上?)に居心地が良いです。テーブルなども県内の建具を設置するなど、細部までこだわりが感じられます。 また、壁面を活用して、作品を展示するギャラリーを展開しています。ちょうど、テーブルが目の前にあり、来店者がくつろぎながら作品を見られます。 出展料は、週6,500円~9,000円代と、安価で出展しやすい価格設定。新進作家や地元アーティストが活用しやすいといえるでしょう。 *人…スタッフが出品者と来店者をつなぐ カフェのスタッフは、出品者と会い、作品の説明を受けてから販売します。そこで、はスタッフと出品者との交流が生まれます。また、スタッフが来店者に対して、出品者の思い入れを伝えることができます。 お店はお客様の「購買代理人」と言われますが、一方で作り手の「販売代理人」でもあります。作り手が一生懸命作った作品でも、売り手にその情報が伝わらず、商品の個性や思い入れが伝わらない場合が多々あるのではないでしょうか。 作り手とコミュニケーションをとってから販売する……一般の小売店が忘れがちな商売の原点を、このカフェは実践しているのです。 まちづくりの視点から実現した「タウンカフェ」。地域交流を生みだすカフェサロンとして、これからも新しい情報を発信してくれるでしょう。 株式会社イータウン 代表取締役 齋藤保 横浜市港南区港南台4-17-22 キタミビル2階 →【会 社】 →【港南台タウンカフェ】
中心市街地・中心商店街における商業・業務機能の集積がなかなか進展しないという課題は全国の多くの都市の悩みです。愛媛県新居浜市では昭和6年から形成された中心商店街は空き店舗が増加し、「シャッター通り」の異名をかぶせられ、再生に向けて「商業振興センターの立地」「街路灯・アーケードの改修」などに行政と共に取り組んできたが落ち込みへの歯止めを架けるに至っていませんでした。現在、経済産業省の「戦略的中心市街地商業等支援事業」により中心市街地とりわけ中心商店街の再生を目指し、「全国の商店街・新居浜市内の全市民団体とのネットワーク」の構築を進めています。今回は、新居浜地域における地域一体型のユニークな取組事例の概要をご紹介します。 ■事業の骨子 新居浜市中心商店街が地域の生産者やまちづくり諸団体、専門家との協働組織をつくり、全国の商店街や生産者とネットワークし、大手量販店が取り扱わない特産品を全国の登録商店が商店の顧客に販売する仕組み(FOPOシステム=フィールドオフィス・パーソナルオフィスと名付けている)です。 ■事業実施主体 平成17年5月23日に設立された「株式会社まち協ネットワーク」(東京・名古屋・新居浜市等の関係者27者が出資) ■事業実施の背景 新居浜市中心商店街は早稲田商店会が提案した「エコステーション」を導入している全国約90の商店街の一つでした。新居浜市は平成16年度に以前から付き合いのあった早稲田商店会エコステーション事業部長の藤村望洋氏と商店街の再生について相談し、地域総合整備財団の「地域再生マネージャー制度」を導入し、藤村氏をはじめ三名の再生マネージャーを指導者として招へいした。地域再生マネージャー事業では「商店街の再生は商店街のみの取組ではダメであり、地域全体がコラボレーションして取り組むことが大切である」として、経済団体、まちづくり団体、行政、NPOが参加した新居浜地域再生まちづくり協議会を立ち上げ商店街を「場」として活用した賑わい創出に取り組んできた。その中で、「既に連携の進んでいる全国のエコステーション設置商店街をはじめとしたネットワークを活用した商店街の再生が出来ないか」が話し合われ、その実現化を目指し、新居浜市をはじめ全国の商店街と生産者がまちづくりビジネスとして新たな事業展開を進めるプラットホーム会社として「株式会社まち協ネットワーク」が設立された(資本金1,250万円)。 平成17年度には地域再生マネージャー事業を継承するかたちで、地域再生の担い手育成のため国土交通省の「地域再生等担い手育成事業」を導入するとともに、経済産業省の「戦略的中心市街地商業等活性化支援事業」の第二次募集で「ネットワーク型商店街ビジネスプラットホーム構築事業」の採択を得て、全国の商店街等との顔の見える信頼できる関係性をITによるネット構築を進めている(事業費1,700万円、補助率1/2)。システムの完成は平成18年3月となっている。平成17年1月30日にはこれらの仕組みを作り上げていく実験イベント「はまさい」が開催され、宮城県志津川町、島根県浜田市、新居浜市の鮮魚・魚の加工品を入れ、様々な市民団体のアトラクションと商店街めぐりビンゴゲームなどで、半日で12,000人が歩いた。平成18年1月29日には第2回の「はまさい」が実験イベントとして開催準備が進められている。 →【新居浜まち協】 ■FOPOシステムの概要(単なるネット販売のシステムと何が違うのか) 一見、インターネットでのネット販売が一般化しつつある今日、わざわざこのようなシステムをつくることに新規性があるのか、との疑問が出されがちですが、このシステムの単なるネット販売との決定的な違いは次の点です。 最も大きな違いは連携する地域、登録店舗、登録生産・販売者、登録顧客は「顔の見える関係性の連鎖」によって結ばれている、という点が不特定多数の顧客を相手にするネット販売とは決定的に違います。株式会社まち協ネットワークの本部と連携地域(連携商店街)、登録生産・販売者はアナログの付き合いにおいて地域づくり・まちづくりビジネスへの理解・協力という点での信頼関係が得られなければ登録ができません。また、各地域(商店街)と登録店舗の間は各地域(商店街)の責任において信頼関係を保持していただきます。さらに各登録店舗と登録顧客の間は各登録店舗の責任で信頼関係を保持していただきます。登録顧客に直接本部から商品データーは配信されず、本部から登録店舗に配信され、登録店舗が商品選択と最終小売り価格を設定して登録顧客に配信することになっています。 信頼性を失う行為があれば登録抹消ということにもなります。販売商品の登録についても、持ち込まれた商品の中から消費者に是非とも結びつけたい商品のみが選択されます。 ■新居浜市を拠点とした全国ネットワークの構築 (何故?新居浜市に本社を置き、全国ネットワークを構築するのか) この仕組みはいずれの地域で立ち上げてもかまわないが、地域づくりと商店街再生の人のつながりがタイミング的に新居浜でクロスしたことによるものであるが、新居浜市は日本の総人口の約0.1%の典型的な地方都市であり、早稲田商店会のような大都市圏の中の特殊性はないので、新居浜市でモデルを構築することは全国の平均的地方都市の目線に立てるというメリットがある。 ■システム完成後の事業展開見通し 平成18年度に全国の最低7地域とネットワークを構築する。登録店舗数は200店舗。それらのそれぞれの店舗に登録される顧客が10,000人。登録販売生産者は200で販売商品アイテムは300種類。販売平均単価2,000円、年間売上げ高6,000万円とする予定である。 平成22年度には全国100地域とネットワーク構築する。登録店舗数は5,000店舗。登録顧客数は50万人。登録販売生産者は5,000。販売商品アイテムは15,000種類。年間売上高は900億円を目指す。 株式会社まち協ネットワークの売上げマージンは6%であり、平成18年度は360万円、平成22年度は54億円となる予定であり、システム管理費、人件費、宣伝費、全国ネットワークの拡大と掘り起こしなどに充てられる。 ■今後の展望(集客交流サービス事業等への展開) 名前のとおり株式会社まち協ネットワークは全国のまちづくりビジネスを事業連合のごとくつないで推進する会社です。今回の事業は各地域の特産品を地域間において流通させる「新しい物流の仕組み」ですが、今後「物流」に加えて「人流」すなわち「集客交流の新しい仕組み」を構築します。物流と人流で「フィールド・オペレーション・システムズ」の構築ということになります。この集客交流ビジネスの特徴は、地域がその地域への旅を一括受注し、地域が案内し、お世話する「受け地主導型のツーリズムシステム」です。2007年問題で大量退職する団塊の世代の「新たな人生の旅」についても仕組みの中に組み込んでいきたいと考えています。
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