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「あきんどPLAZA」の事務局です。
 今年度第20号のメルマガです。3月25日は電気記念日です。

 (社)日本電気協会のホームページによりますと、明治11年(1878年)3月25日の夕方に東京虎ノ門の工部大学校(東大工学部の前身)の講堂で、当時の大臣や各国公使などを招いてアーク灯を公の場で初めて点灯させ、中央電信局の開業式を行いました。アーク灯とは強烈な光を出すアーク放電を利用した電灯のことで、溶接のときに強い光が出ているのを見かけることがあると思いますが、その原理と同じです。この日を記念して昭和2年(1927年)日本電気協会の総会で、3月25日を電気記念日と定めたそうです。明治12年(1879年)にエジソンが白熱灯を発明したのですから、まさにわが国の近代化の幕開けを記念する日ですね。
 それでは今回は以下のメニューでお届けいたします。また、このメルマガへのご意見・ご感想も下さいね。


商店街のまちづくりイベントを考える!(第2回)
└ 株式会社地域生活総研バリーオ 代表取締役 田邊大輔
お客様の心をキャッチする店づくり(購買心理を活用した店づくり)(第10回)
└ 有限会社テオリア 取締役社長 八木田鶴子
<第2回 メルマガアンケート調査結果>
お知らせコーナー




  【第2回】
  株式会社地域生活総研バリーオ
  代表取締役 田邊大輔

(前号から続く)

■6.地元(ローカル)からの発想
 
「まちづくりイベント」では、”地域経済の活性化”とか、”地域コミュニティの育成”というふうに、「地域」がキーワードになる。だから、地域特有のものを見つめローカルに徹することが「まちづくりイベント」の魅力づくりに繋がる。そしてそういう「まちづくりイベント」は、大きな支持を集めて全国に知られるようなイベントに育つことも少なくない。したがって、まずは足元を見つめて、「地域」という不変な基準にたって、身の丈にあったイベントづくりを目指すことが肝要と思える。

■7.”手づくり”ということ
 ここに言うところの”手づくり”とは、「まちづくりイベント」を実施・運営する際に必要な、人、モノ、資金、情報などを地域が自らの手で主体的に”調達”することを意味している。ただし、閉鎖的に外者を受け入れないと言うことではない。というのも、イベントは祭りとは違って宗教的なタブーがあるわけではなく、むしろ開かれた催しであるからである。それゆえに、地域の人たちが主導権を握ってイベントを作り込むというレベルでの”手づくり”を意味している訳である。
▼祭りとイベントの傾向
祭   り
イ ベ ン ト
タブーがある(女人禁制など)
タブーがない(ビジネスのルールはある)
宗教的である(神がいる)
宗教的でない(神がいない)
収益性を求めない(全て消費)
収益性が求める
同じ場所で周期的に開催される
単年度の開催も多い
乱痴気騒ぎ・役割転倒が大きい
乱痴気騒ぎ・役割転倒が小さい
コミュニティが閉鎖的
コミュニティが開放的
アイデンティティの確認が強い
アイデンティティの確認が弱い
作成)(株)地域生活総研バリーオ

そして、そういった”手づくり”へのこだわりを持つことは、それが「まちづくりイベント」の味わいを生み、イベントに広がりも出てくることになる。地域の人々が自らの手で立ち上げたイベントを自らの手で担ぎ、その楽しみを満喫することが「まちづくりイベント」の醍醐味でもあり、それが「まちづくりイベント」は”手づくり”といわれる所以である。

■8.「まちづくりイベント」のタイプと計画づくり
 ところで、「まちづくりイベント」の企画段階では、その実施・運営の状況を予測しながら計画を詰めることが望まれる。その有効な手段として、イベントのタイプの違いを勘案して検討することが挙げられる。さて、そのイベントのタイプの違いには、1)「”観光振興型”か”地域住民ふれあい型”か」という軸と、2)「”集客型”か”情報伝達型”か」という軸がある。そして、そのタイプの違いによって、イベントの内容が大きく変わってくる。つまりは、誰が(主体)、誰に(ターゲット)、何のために(目的)、何を(イベント形態)、いつ(時期)、どこで(場所)、どのように(規模、構成・演出、広報・宣伝)、いくらで(収支)開催するのかがある程度見えてくるのである。だから、「イベント」のタイプを明確にして、それに基づいた計画づくりを進めることを推奨したい。

■9.「観光振興型」と「地域住民ふれあい型」
 「まちづくりイベント」は、ターゲットと目的がらみの相違として、地域外の人を対象にした集客を目指す「観光振興型」と、地域内の住民サービスを行う「地域住民ふれあい型」に分けられる。もちろん、「地域住民ふれあい型」が地域外の人をも集めて観光振興につながったり、逆に「観光振興型」が地域住民のふれあいの場になったりと、厳密に分けることは難しい。だが、「まちづくりイベント」を実施するときに、どちらのターゲットに軸足を置くかを明確にしながら企画すると、より効果的な展開が期待できる。というのも、ターゲットの相違によって、「まちづくりイベント」の作り込みに大きな違いが現れるからである。例えば、地域外からの集客を目指す「観光振興型」は、地域住民も一緒になって企画段階から実施・運営に至るまで参加することが求められるし、その結果として組織体制も大きくなり、広報や宣伝も域外の人に伝わるように広域的に展開することになる。また、特に収支面においては来街者を消費に結びつけて地域経済への寄与を図ることが、ことさらに意識して求められるようになる。ちなみに、「観光振興型」は商店街の立場から見ると新規顧客の増大につながる機会となり、いわば”新規顧客獲得イベント”と呼べる。
 一方、「地域住民ふれあい型」は、広報・宣伝も地域内に限定され、収支についても地域住民に負担がかからないように工夫するなど、地域共同社会の育成といった社会的・文化的な側面をふまえての開催となる。商店街の立場から見ると地域顧客とふれあう機会になり、それが固定客化に繋がるので、いわば”固定客サービスイベント”といえそうである。
 さて、それぞれについて、具体的な事例を挙げて説明しよう。例えば、福島県川俣町の全国的なフォルクローレのイベント「コスキン・エン・ハポン」は、典型的な「観光振興型」で国内だけでなく海外からも多くの演奏グループが参加している。




一方、同じく川俣町の商店街コミュニティ施設「絹蔵」で行われた落語会は、いわゆる「地域住民ふれあい型」である。
そしてそれぞれが、上述したようなイベントの作り込み方になっている。

■10.「集客型」と「情報伝達型」
 次に、「まちづくりイベント」の、形態や規模、並びに開催場所などに大きな違いを生む要因として、多くの人を集める「集客型」か、マス媒体などを通じて多くの情報を伝達する「情報伝達型」かといったタイプの違いが挙げられる。その説明のために、大規模ではあるが解りやすい事例を示そう。それは、「集客型」として博覧会、「情報伝達型」としてオリンピックである。この「集客型」の博覧会と「情報伝達型」のオリンピックではイベントの作り込み方が大きく違っている。
 博覧会のような「集客型」のイベントは誘致圏に集中的に広報・宣伝を展開し、集客に伴う施設やインフラの整備、来場者輸送への対応、さらには組織も会場内の運営に重点をおいたものになる。一方、オリンピックのような「情報伝達型」のイベントは、広報・宣伝の戦略づくりがより重要になる。例えば、話題性を創造することで広告や協賛をしてもらうなど、マス媒体への対応が求められる。
 このように、「まちづくりイベント」を開催する際には、そのどちらのスタンスで実施するかを念頭におきながら企画するといい。
 例えば、銚子市の世紀越えイベントでは、「情報伝達型」に軸足を置き、1998年頃からマス媒体へ「日本で一番早い初日の出(離島を除く)」というキャッチフレーズでパブリシティを積極的に打った。その結果、1999年頃からマス4媒体にこぞって取り上げられるようになり、それに触発されて商店街でも「世紀越えせんべい」、「世紀越え清酒」、並びに3億円を集めた「世紀越え定期預金」などの関連商品が次々と販売され、それらがまたマス媒体で紹介されるという正の連鎖が生まれた。そしてその結果、「集客型」のイベントといえる「ミレニアムカウントダウンin銚子」が年末年始、全国の行楽地で東京ディズニーランドに次いで2番目の来場者数となった。しかし、その予想を超える集客は実施・運営においてむしろマイナス面もあった。というのも、開催前にインフラや来場者輸送などが限界に達すると予想される状況になり、むしろ来場者が増えないように渋滞予測などの情報を提供して、その抑制に努めることになったのである。

■おわりに~ご挨拶~
 以上で「商店街のまちづくりイベントを考える」を終わります。商店街のイベントは、「資金の調達・確保が難しい」、「商店街にあまりやる気がない」、「リーダーシップをとれる人材が少ない」、「商店同士の協力体制がとりづらい」、「費用対効果が期待できない」、「イベントを開催する場所の確保が難しい」、並びに「行政の協力が少ない」などの問題点が次々と挙げられ、その解決に向けた取り組みが模索されています。そのような厳しい環境の中で、商店街は直接的な費用対効果が直ちに期待できない「まちづくりイベント」にも取り組んでいるのです。それは地域社会が壊れつつあるなかで、地域と共に生きる商店街の宿命であり使命でもあるといえるでしょう。商店街が「まちづくりイベント」に取り組むことで、地域共同社会を豊かにしていくことが、はたして出来るのか。「商店街は地域と共生し、地域によって生かされている。」この当たり前の考えのもとにイベントを開催すれば、紆余曲折はあっても、地域と商店街は共に豊かになっていくに違いない。そう、書きながらあらためて感じました。ご一読いただき、ありがとうございました。



 【第10回 最終回】
  有限会社テオリア
  取締役社長 八木田鶴子

消費者は新しいものが好き

 日本ではさまざまな商品分野で、毎年、大量の新製品がでてきます。日本の消費者は概して新しいものが好きなようです。

■コンビニエンスストアの商品入れ替え率
 コンビニエンスストアの商品アイテムは約3,000余りですが、実にその倍の6,000アイテムが入れ替わっているといいます。私も飲料やデザート類などの棚に新しい商品を見つけると、とりあえず買って試してみます。
 コンビニエンスストアでは、こうした商品情報をPOSデータで収集し、詳細に分析して売れ筋を絞りこんでいきます。

■目新しさと変化でお客様を引きつける
 売り場にはいつも目新しさがないと消費者に飽きられてしまいます。スーパーでも、多数の新製品や季節商品、日配品などの地域商品をはじめ、毎日・毎週のように目玉商品を用意してチラシで特価を訴えるなど、常に売り場の変化があります。
 最近、大手外資系スーパーの撤退が発表されました。大量の商品を低価格で販売する欧米流のEDLP(エブリデー・ロープライス=毎日が安売り)が苦戦しているのは、商品と売り場の変化に乏しいということも一因としてあるように思われます。

■売り場はいつも新鮮に
 売り場の新鮮さが重要なのは、食品や日用雑貨に限りません。衣料品ほかの買い回り品についても同じです。コンサルティング支援をしているなかで、売り上げ不振と嘆いているお店の多くは、売り場に新鮮さが欠けています。売れ残り品がいつまでもおいてあったり、マグネット陳列の変化がないのです。同じ商品、同じ陳列では陳腐化してしまうのです。そうしたお店では、商品回転率も悪く、データ的にも検証できます。
 「商品の鮮度」を高めることが重要なのは、食品に限らずすべての商品にいえることです。消費期限・賞味期限、季節感による商品の鮮度管理は基本中の基本です。話題の商品や消費者に支持されている商品に入れ替えていくということも重要です。
 商品の鮮度と陳列やPOPの変化による売り場の新鮮さは、お客様の関心を引きつけます。

■心に残る売り場紹介
 最後に、昨年訪れたオセアニア地域でみた売り場の写真を3点ご紹介します。ここにご紹介するほかにも、多くの心に残るお店がありました。どのお店も、注目を引くようなカラーコーディネートや陳列が見事で、クリンリネスが徹底されていました。

1.前回も紹介しましたが、メルボルン市内にある、「Queens Victoria Market」の一角です。約7万m2の総面積を持ち、生鮮食品から日用雑貨、衣料品、ワイン、みやげ物まであらゆる商品が揃っています。
2.メルボルン市内のあるビルの1階がアーケードのようになっていて、高級ブティックが並んでいます。このような造りの店舗群がいくつも見られました。
3.ニュージーランド郊外のとあるみやげ物店です。店内の陳列は美しく、買い物しやすい雰囲気です。



<第2回 メルマガアンケート調査結果>
 平成17年2月4日に「あきんどPLAZA」号外版として実施させていただいた、第2回アンケート調査結果の概要についてご報告します。回答数は334件(うち、商店街の方211件)でした。皆様、ご協力ありがとうございました。ご回答いただきました結果は、以下の通りです。

■前年同期と比較した現時点の景況感
「悪くなった」67.8%、「良くなった」1.9%、「変わらない」30.3%となりました。これをDI値(「良くなった」割合から「悪くなった」割合を引いた数値)で見ると、▲65.9(前回▲64.6)と前回10月時点よりやや悪化しており、依然として商店街の景況感は厳しいものがあります。

■メルマガ「あきんどPLAZA」の評価
この1年間に掲載させていただいた本メルマガの記事につきまして評価いただきました。全体では約9割の方が「参考になった」と回答されました。

■今後提供してほしい情報
 今後提供してほしい情報について複数回答でお聞きしたところ、希望の多かった上位3つは次のとおりでした。
1位 各地の商店街の事例
2位 商店街の活性化方策
3位 個別店舗の活性化方策
調査結果は、貴重な資料として活用させていただきます。
 また、数ヶ月に1度、同様なメルマガアンケートを実施する予定ですので、読者の皆様の更なるご協力(回答)をお願い申し上げます!

お知らせ

平成17年度中小商業活性化創業等支援事業の公募について
 中小企業庁では、魅力ある個店づくりのために実施される、既存店舗の経営者や後継者、新規創業予定者等を対象とした人材育成事業(座学講習、空き店舗や繁盛店を活用して繁盛店から技を取得する体験実習、その他店舗運営の見直し等の事業)に要する経費の一部を補助する事業を16年度から実施しております。
 平成17年度についても、本補助事業を実施する組合等の採択のための公募を予定しておりますので、お知らせいたします。詳しくはこちらから!


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【発行日】2005年3月25日
【発行】全国商店街振興組合連合会 企画支援部
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