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逸品が求められる背景その2 (「おすすめを期待しているお客様」) 大店法がなくなり、わが国の小売業界は、激戦の時代に突入した。そして、競争が激化した結果、お客様にとっては、選択できるお店の数も種類も増えた。したがって、同じ商品や同じサービスであれば、お客様は、より安い店、より信頼性の高いお店を選ぶことになる。たとえば、ディスカウントストアが流行ったり、アウトレットモールがもてはやされるのは、顧客の価格志向が、バブル崩壊後、鮮明になってきた結果といえる。また、同じ商品であれば、より知名度の高い大型店を選択するというのが、消費者心理であり、結果的に、同じ品揃えであれば、地元のお店から客足が遠のくということになる。 さらに、利便性を求める顧客ニーズは、大型店では飽きたらず、ネットショッピングやテレビショッピングという購買行動に現れている。たとえば、インターネット上のお店であれば、24時間一年365日営業しているので、便利である。 しかし、こうした便利さや安さだけで、果たして、今のお客様は満足しているだろうか。機能性や利便性を追求すれば、お店ではなくインターネットでの購入という結論に行き着いてしまうだろう。それでも、わざわざ、お店までお客様が足を運ぶのは、価格やブランド以外に、お店からの情報を重視しているからではないだろうか。たとえば、テレビのワイドショーで、グレープフルーツが体に良いと放送されれば、店頭からグレープフルーツがなくなってしまうという現実をどう捉えればよいのだろうか。お客様は、自分にとって有効な情報に飢えているのである。かつては、こうした顧客への情報提供を、地元商店が行ってきたが、それがマスコミにとって替わられているということである。 お店が、自信を持っておすすめする商品やメッセージは、きわめて新鮮で有効な情報なのである。そこにしかない商品やサービス、お客様自身のことを考えた商品が、今まさに求められており、それが地元店にとっての財産になりうるのである。たとえば、週末ともなれば、東京近郊に住む女子高校生が、カリスマ店長のいでたちを見るために、わざわざ渋谷の「109」まで足を運んでいる。彼女たちは、カリスマ店長の着こなし方法という情報を得るために、時間とお金を費やして、お店まで足を運んでいるのである。年齢に関係なく、お客様は情報に飢えているのである。 かつては、地元のお店が情報提供や生活提案をしていた。私は、東京の谷中というところで生まれ育ちったが、小さい頃、よく母親にくっついて、買い物に出かけていた。毎日の買い物の中で、母が必ず最初に行くのが、八百屋さんだった。お店に行くと、八百屋のおじさんが、その日のお買い得や旬の野菜を、すすめてくれた。しかも、必ず食材を使った料理の提案をしてくれるのである。たとえば、「今日のジャガイモは肉じゃがにすると、ホクホクしておいしいよ、奥さん」という具合である。今風に言えば、メニュー提案ということなのだろうが、昔は日常的にお店では、こんなおすすめをしていた。母親は、八百屋さんに最初に立ち寄ることで、その日の夕飯の献立のヒントをつかみ、八百屋の次に肉屋に行くか魚屋に行くかを決めていたのである。 お客とお店の人のこんなやりとりこそ、本来地元店が最も得意としていたところであったはずだ。それが、スーパーの出現で、セルフサービスで大量に売るのを見せつけられてからは、セルフが最も親切な売り方だと考えたのか、こぞって接客をしなくなってしまった。 こうした点をふまえるならば、地元商店は、おすすめや提案ということについて、小売の原点に戻って、もう一度見直す時期にきているのである。そして、逸品とは、まさに、お客様への「おすすめ」そのものなのである。
個客商売で売上を上げる 時代が様々な形で変わってきたことを、皆様、日々の生活、仕事の中で実感されていることでしょう。夜中まで営業している店が増えた。女性で働いている人が増えた。男性でもスーパーマーケットで買物している人が目につくようになった。外国人が増えた。その中でも、皆様の仕事に直結する現象は、子供の数が減ったということです。そのあたりを駆け回る子供を本当に見かけなくなりました。このことが、皆様の商売にとって、最も重要なことです。 昔、子供が多かった時代は、目の前にいるお客様を失っても、新しいお客様が来てくださる可能性は、今と比べ物にならない程、高かったのです。けれど、今の時代、目の前のお客様を逃がしてしまうと、新しいお客様が来られる可能性は、とても低いのです。昔は、お客様の数で勝負できたけれど、今は、それが出来ないということです。それでは、皆様のお店の売上が減少するのを、手をこまねいて待たなければならないのでしょうか。そうではないですね。ひとりのお客様の売上を上げること。ひとりのお客様に、できるだけたくさん買って頂くことを考えなければならないのです。 これを『生涯価値』と言います。できるだけたくさんのお客様に来店して貰う時代から、ひとりのお客様に出来るだけたくさん購入して頂く時代へ。商売のやり方、考え方を徹底して変える必要があります。時代は、『顧客』から『個客』へ、ひとり、ひとりのお客様を徹底してだいじにすること。目の前のお客様を失うことは、そのお客様の生涯にわたる売上を失うということ。ひとりのお客様の貴重さが、昔とまったく違ってきたのです。 では、どうすればよいのでしょうか。 ひと口に顧客満足と言っても、お客様ひとりひとり、満足の種類は違います。丁寧に接客して欲しい人、ほっておいて欲しい人、欲しい商品も昔に比べると千差万別です。この違いに対応するには、お客様のことを知ることが一番です。そのためには、お客様の情報をこまめに気長に集めていく必要があります。そのためのポイントカードであり、アンケートであり、顧客データベースなのです。こうしたツールは、ポイントカードさえ導入すれば、売上が上がるという考えがありますが、まったくの幻想です。どういう情報を集め、どういう使い方をすれば、お客様に満足して頂けるのか、その店に合ったストーリーを立てる必要があります。お客様の名前を、比較的聞き出しやすい不動産会社、クリーニング店などと、難しいスーパーマーケットでは、やり方は違ってくるでしょう。 ここでは、比較的どの業種でも使えるCTI(コンピュータ電話統合システム)を考えてみます。これは、電話がかかってくると、ナンバーディスプレイの仕組みで、パソコンにお客様情報が表示されるものです。小売店であれば、通販はもちろん、予約商品の回答には最適です。電話を頂いたついでに、購買履歴を見て、そのお客様に合った商品のお勧めもできます。美容院などの予約が必要な店にも最適です。出前があるおそば屋さんなどには、地図の表示もできます。こうしたツールを積極的に取り入れるかどうかで、お客様からの支持は大きく変わってくることは間違いありません。
■「美と商いの融合」をコンセプトに 熊本市の中心街である上通にある4つの商店街振興組合からなる上通商栄会。以前は、客層も高齢者が多い、どちらかといえば暗いイメージの商店街だったのが、1998年の改修工事により、太陽光の差し込む、明るい商店街へと生まれ変わった。また同時に全国商店街初の「木(イペ)の床」を採用し、ぬくもり、優しさの演出に成功している。これを機に、もともとギャラリーや画廊が商店街内に多いという特徴を活かし、「美と商い」という明確なコンセプトのもとに商店街の生まれ変わりを図った。 ■「上通ファンクラブ」を設立して顧客の囲い込み まずは上通のファンを作ろうという発想から、豊富な特典が用意された上通ファンクラブが運営されている。特典は映画の試写会招待や、野球観戦、コンサートの鑑賞券などが抽選で当たったり、1万円で1万2千円の「上通プレミアム商品券」が購入できるなど、お得感が高い。ホームページはその窓口的役割を果たしている。登録料無料のこのファンクラブは、数々の魅力ある特典が用意され、現在約8,000名の会員を抱えている。 ■「電子マネーEdy」を全国の商店街に先駆けて導入 電子マネーEdyとは、レジの読み取り機にかざすだけで支払いが可能な非接触型ICカードで、ampm等のコンビニなど全国で使える場所が広まりつつある。このEdyは上通商栄会が今最も力を入れており、また商店街では初の導入ということで全国からも注目を浴びている。上通商栄会でのEdy活用術は、ANAとの提携で、Edyカードで代金を支払うことで、200円につき(200edy)ANA搭乗距離1マイルが貯まるという仕組みになっている。等価計算で買い物をすることが可能で、Edyで代金を払うと割引価格が適用されるなど、多くの特典も用意されている。 ■上通商栄会の新たな挑戦 いま注目しているのが、携帯電話を店頭の端末にかざすだけで買い物料金の精算が出来るという仕組みである。現在のクレジットカードよりもユーザーに便利な仕組みになれば、若い買い物客も多い上通商店街にとって、こうした携帯電話の上手い利用方法が今後の買い物客囲い込みに一役買う可能性は大きい。そのため、今後は携帯電話向けコンテンツの作成への取り組みを考えている。全国商店街初のEdy導入を行った上通商栄会の新たなる挑戦は続く。 上通商栄会のホームページはこちら!
平成16年3月10日(水)金沢市において標記シンポジウムを開催し、2名の講師による講演及びパネルディスカッションを実施しました。参加者の評判も上々で、「多くの商店主に聞かせてやりたい」「商店に“あきんど”マインドを理解してもらう必要があると感じた」「『もうける』という商売の原点に戻ることの大切さを再認識した」等々の意見が寄せられました。シンポジウムの概要については別途報告書を作成中ですが、ここでは講演者の一人である朝日大学マーケティング研究所鈴木博道所長の講演概要について紹介します。
商人はお金に対する執着心を持て、商売にはイマジネーションが必要、智恵を出し、競争して強くなる 1.商店街の競合はコンビニだ 2.そもそも商人とは、 (以上は前号5.25発行済みです。第1回を読みたいという方はバックナンバーを見てくださいね! 3.守るべきものは個人の売る能力 次に商店街について考えてみよう。そもそも商人は売る能力が問われている。守るべきは、個人の持っている売る能力であり、土地・建物ではない。元来商人は定着せず、移動しながら交易能力を磨き、自由に渡り歩いていた。その商人を定着させたのが行政であり、商人を課税対象とするために、市をたてて、地代に対していくらという縛りをつけた。本当は嫌だったが、無理やり定着させられ、それで街ができた。今は逆で、店(街)を残すことに主眼がおかれていて、守るべき「商人の能力」は重要視されていない。 最近、怖いことが起きている。インターネットの世界で商人が増えていること。店を持たず商品だけを持ち、自由に販売している。ここに本来の商人の形態が増えてきている。 商売で一番大事なのは、商人の原点である「売れるものを仕入れて売り切ること」であり、商店街を守ることではない。 4.事例紹介 ■ブティック この店はセンスはいいが、新規客が増えなかった。高いと思われているので、2万円以下のものは商札をつけた。ショウケースの中は、必ず1~2週間に一度は変えるようにした。それだけで売上が1.5倍に増えた。ブティックでは売り子のセンスや年齢層にも影響する。 ■パン屋 お客は売れているパンを求めている。「一番売れてる」「焼きたて」など表記が大切。さらに店の前にメッセージの立看板を置いた。それも絵をいれて分かりやすく。一瞬で目にはいるのは15文字まで。卸もとの大手製パン会社がケーススタディで取り上げたいという申し出がでるほどに成長した。 ■毛糸屋 毛糸を多く買ってもらう工夫に、従来の編物教室を発展させ、生徒さんたちの販売会を3日間行った。さらに素晴らしかったのは、販売当日、自分が編んだ作品を着てくるようしたこと。これで参加者のモチベーションも高まり、さらに3着分の毛糸の使用にもつながった。500人のお客様が来場、皆さんに喜んでもらえ、売上も上がった。 商売には、イマジネーションが必要である。売るだけではなく、買ったお客さんのことをイメージしないといけない。例えばパン屋であれば、買った高校生がどこで誰とどんな風に食べているのかを想像すること。商人はお客が見えなくなったら終わりであろう。また、一日の最後に売上を計算しない店主もダメ。自分で数えて今日一日の感触を確かめることは、基本(でも、できていないお店が多い)。まず自分のお店の生き残りを考え、隣のお客様を奪うくらい競争して強くなる。とことん儲けにこだわり、智恵を出しきることが必要なのである。個店に競争力がつけば自ずと商店街も元気になってくる。
当該事業は、中心市街地の活性化を含めた都心のまちづくりに取り組むため、札幌市と札幌商工会議所で組織した札幌TMOが主体となり都心の6つの商店街と協働で、また、駐車場事業者の協力のもと実施。スタート時の参加者は、大通周辺の小売店、飲食店、医療機関など103カ所と29の駐車場で収容台数は合計2,165台。従前、個々の店舗が独自に行っていた買い物客への駐車券サービスを同一のルールのもと共通の駐車券を発行するというもの。これによって同事業に加盟する駐車場ならどこでも駐車出来ることとなり、駐車場探しや駐車場待ちが減り、郊外に流れているマイカー利用客を呼び戻すとことが出来ると大きな期待が寄せられている。 共通駐車券は30分・60分・90分の3種類あり、利用額によりそれぞれの店舗が発行する。30分券は貯めて後日でも利用することが出来る。狸小路を含め大通り地区の6つの商店街の店舗数は約450店あり、札幌TMOでは、その1/2の店舗の加入を見込んでいる。また、地区内の百貨店も加入を検討しているところ。この地区内の駐車場は60カ所あり、今後はマイカー利用者の利便性を向上させるために加盟店舗・駐車場とも増やしていく方針と聞いている。
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