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 「あきんどPLAZA」の事務局です。今年度第8号のメルマガです。
さて、11月10日はエレベーターの日です。日本初の電動式エレベーターが1890年(明治23年)11月10日に完成した12階建ての展望台、浅草の「凌雲閣(りょううんかく)」に設置されたことを記念して、社団法人日本エレベーター協会が制定しました。
 手動式のエレベーターは紀元前のローマ時代にまで遡るそうですが、手動以外の動力によるエレベーターは1835年に蒸気で動くエレベーターが開発され、電動式のエレベーターは1889年にようやく誕生しました。
 エレベーター協会のホームページでは、エレベーターの歴史、原理、いろいろなエレベーター、エレベーターの安全対策などのほか、エスカレーターについても同様にいろいろ勉強できます。また、エレベーターの日のキャンペーンクイズなども行われています。ちなみに、エスカレーターの日は3月8日だそうです。
 それでは今回は以下のメニューでお届けいたします。今回から読者の方から寄せられた投稿情報コーナーも設けました。

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欧米のまちづくり施策から示唆されること(第2回)
└ 千葉大学工学部都市環境システム学科 助教授 村木美貴 
小さなお店でもできるマーケティング・店づくり(第4回)
└ 株式会社キャラウィット 代表取締役 米澤実弥子 
<経済産業局レポート>
美級のまちづくり・久留米 ~TMOと商店街、NPOなどが連携~

└ 九州経済産業局 産業部 商業振興室
<読者投稿情報コーナー>
商店街で女子高生のチャレンジショップが話題に!
お知らせコーナー




  【第2回】

  千葉大学工学部都市環境システム学科
  助教授 村木美貴

英国にみる活性化の方法

 前回、イギリスのTCMを例に中心市街地を見る視点を前回述べたが、これはイギリスに限らず、欧米諸国で広く行われていることである。今回は、これを踏まえ、実際の活性化方法について説明したい。そもそもイギリスでTCMが発達したのは、中心市街地の衰退が1980年代に深刻となり、対応の必要性が急務であったことから民間企業が中心となり、活性化を進めたことにある。ここでは紙面も限られることから、組織の要となるマネージャーの選定方法とBIDの事例について説明しよう。

■組織とマネージャー
 「TCMの組織形態はどのようなものがあるか?」という質問をよくされる。しかし、望ましい組織形態はあくまでも個別の街の形態に合ったものであり、どの形が良いということはない。小都市では、マネージャーを個々に雇う資金も限られるので、複数都市でマネージャーを共有する方法を取るところ、行政が中心となるところ、株式会社形態をとるところなど様々である。しかし、その中で、どのようにマネージャーを雇うのかは、大きな課題である。

 そこで、マネージャーの選定方法、任期、権限について説明しておこう。選定方法は、新聞、またはTCM協会の情報で雇用条件等が提示され、最終決定は理事会による。いかに優秀なマネージャーであっても、関係者との関係がうまくいかなければ能力を十分に発揮することができないためであり、つまり、理事会との関係はきわめて大きいといえる。選定されるべき人は地域によるであろうが、TCM協会によれば、「事業の優先順位が付けられる人」「他人の意見を聞ける人」などが重要事項とされている。もちろん、商業、開発等の中心市街地に関連する事項の経歴を持つことは望ましいが、絶対条件ではなく、マネージャー自体の経歴は様々である。マネージャーの役割が大きいことから、マークス&スペンサーやブーツなどのTCMに力を入れている企業では、TCM専門部署を本部に持ち、個別TCMのマネージャー選定に本部スタッフが行き助言を与えることもあるという。
 次に任期についてであるが、3年間契約が一つの目安になっている。もちろん契約期間上限を持たないマネージャーもいる。3年間では短期的な成果を挙げることに注力するとの問題点も指摘されているものの、契約期間のあることが仕事をする上で励みになるというマネージャーも多数存在する。
 そして権限であるが、一言で言えば、持っていない。だからこそ、理事会との信頼関係が重要であり、権限を持つ人といかに協力して活性化を実現するかが求められるのである。

■英国型BIDとバーミンガムの取り組み
 ところで、中心市街地活性化の方法として、北米ではBID(Business Improvement District)がよく知られているが、イングランドでも、2001年4月24日、BIDの導入が発表された。これができた背景としては、TCM活動ではただ乗りをする事業者が多いことから、多くの商業者が参加するBIDの導入が望まれていたということがある。北米のBIDとの相違は、北米が不動産にかかる負担金であるのに対し、イギリスがビジネスに対してかかるというものである。これは、不動産所有者が必ずしもビジネスを行っている訳ではないためで、事業税に負担金が上乗せされる形で徴収されている。ただし、空店舗となってから3ヶ月が経過すると、負担金を不動産所有者が支払う義務が生じる。BIDは5年以内の期間が決められており、終了後、継続の可否が審議される。

 最後にBIDの事例としてバーミンガムを紹介したい。バーミンガムは英国第二の都市であり、中心市街地のブロードストリートにおいてBIDを2004年から導入している。地区内には300事業者、18,000人の雇用者、40軒のパブ・クラブ、30軒のレストラン・カフェ、8軒のホテル、3軒の劇場、12スクリーンの映画館、3つの劇場を抱える商業・業務・エンターテイメント地区がある。地区内をコアエリア(地方税の2%)、その他地区(1%)、その他地区(0.5%)の3つに区分して、運営資金を獲得、ただし、年間売り上げ1万ポンド(約200万円)以下は免除しており、小さなビジネスも地域に入るようにしている。結果、地区内から約33万7千ポンド(約6,740万円)を得て、安全性の確保、清掃、マーケッティング、マネージャーの給料等に充てている。

 BIDの成果であるが、犯罪が前年比2413件減少(13.2%の減少)、来街者の80%が安全な街と評価、6万人以上が地区を訪問という結果を生み、BID地区内の92%がその存続を、そして地区外からも地区の拡張を望む声が上がっているという。9割以上の事業者がBIDを望むのは英国内のBIDでもっとも高い一つであり、きわめて成功した事例といえるだろう。こうした成果は、綿密な事業計画によるものが大きいが、前回述べた地区の健康度を明確に把握しているからこそ、状況を地域に説明できるのである。英国の中心市街地活性化、とりわけBIDは負担金ではなく「投資」であることをマネージャーが力説していた姿がきわめて印象的であった。




  【第4回】

  株式会社キャラウィット代表取締役
  米澤実弥子

安心できる表示と陳列

■商品の安心・安全=信頼
 お店とは、お客様が欲しいものをお客様に代わって調達する「購買代理人」です。売り手の「売りたい商品」を一方的に押し付けるのではなく、お客様が「買いたい」商品をビンカンに察知し、仕入先を探し、買いやすい形で販売する役割があります。
 でも、お客様は「○○が欲しい」とは教えてくれません。したがってお店の人は、お客様がどんな商品を好むか、どういう売り方ならお客様にとって便利かについて、いつもアンテナを張って察知することが肝心です。
 お客様が商品を買うときに重要視するのが安全性です。
 「このお惣菜は安心して食べられるかしら?」
 「このアクセサリーは本物かしら?」
 食品偽装事件やニセモノ事件がニュースになるご時世、「このお店なら大丈夫」と信頼されることはお店にとってかけがえのない財産になります。お客様に信頼していただくためには、「○○産」など産地表示に加え、生産者情報をあわせてお知らせするのも良いでしょう。食品でいえば「○○さんちの野菜を使っています」「契約農家○○さんのお米です」などです。
 お客様は、商品が作られるプロセスや原材料を自分の目で確認できません。お店からの情報が頼りなのです。情報発信の多いお店は“顔の見えるお店”として安心されます。
 また発信する情報は、「お客様が商品を買う際に気になること」「お客様の興味がわくこと」を意識すると良いでしょう。

■安心感があふれるお店
 山形県鶴岡市の「(有)ミートデリカ・クドー」は、あたたかみのあるお肉屋さんです。自慢のお肉に加えて、店内で作ったできたてのお惣菜を販売しています。
 売っている山形牛は血筋の確かな銘柄牛のみ。お惣菜も、化学調味料や添加物は一切使わないで、できたてがおいしく食べられます。
 お惣菜は肉料理、魚類、野菜類などとバラエティ感があり、どれもお母さんが作ってくれたお惣菜、という印象です。しかもお店は「24時間営業」で、忙しい女性や働く人たちが健康で美味しいお惣菜をいつでも楽しめるのが魅力です。
 この店内を見ると「安心できるお店」と感じます。それは、ここかしこにお客様が知りたい情報を具体的に掲載しているからです。

*店頭ウィンドー
 店頭のウィンドーには「心と身体に安心 みずから元気になるチカラ」とあり、お店の姿勢がわかります。また、季節感のあるディスプレイが施されています。

*買いやすさと商品の美しさ
 お客様はお惣菜を好みの量だけ買うことができます。お惣菜は自然な色合いが家庭料理を思わせて安心です。トレイが彩りよく配置されていて食欲をそそります。

*統一された手描きPOPが魅力
 手描きならではのあたたかさがあり、どれも同じ書体・レイアウトで見やすく統一感があります。

*お肉のそばには調味料&作り方
 「忙しい時のカレーの作り方」「忙しい時のハンバーグの作り方」……思わず目をとめてしまうキャッチコピー。忙しい現代人の役にたちたい!というお店の優しさが伝わってきます。

*壁面には地元素材を大切にする心
 「山形県地産地消運動に参加しております」「井上牧場のトマトとじゃがいも、小松菜を使用して料理しています」などが、安心感を高めます。

お客様に対するお店の姿勢は、実際にお店をみると自然と伝わって来るものなのです。

(有)ミートデリカ・クドー

代表取締役 工藤秀邪
山形県鶴岡市本町1-7-13




美級のまちづくり・久留米 ~TMOと商店街、NPOなどが連携~
九州経済産業局 産業部 商業振興室

 「まちづくり」に関して、九州管内の各地域において、TMOと商店街等が連携して様々な取組が行われております。
 今回は、福岡県久留米市における「まちづくり」の取組についてご紹介致します。

■光の祭典「ほとめきファンタジー」
 本年度、中小企業庁の戦略的中心市街地中小商業等活性化事業に採択された久留米市(福岡県)では、現在、TMOを中心に青年会議所や商工会議所(青年部・女性会)、商店街などが協力して、大掛かりなイルミネーションと音楽祭の準備を進めています。ターミナル拠点の西鉄久留米駅周辺から六ツ門の六角堂広場までを結ぶ1kmのシンボルロード・明治通りの並木。
家族やカップルで楽しめる東西の広場とロマンチックストリートに灯る50万球の色鮮やかなイルミネーション、期間中に行う音楽イベントなどで来街者を増やし、冬の街を盛り上げる作戦です。毎夏賑わう市民祭り・水の祭典に習った、冬の光の祭典「ほとめきファンタジー」がいよいよ目前です。
 *ほとめき…筑後地方の古い方言で「おもてなし」を意味しています。

■公設民営の広場
 光の祭典のイベント会場となる六角堂広場は、二度の火災で焼失した中心商店街発祥の地で進めていた再開発計画を断念し、平成15年に久留米市が取得・整備し、TMO・(株)ハイマート久留米が管理運営している公設民営の広場です。また、同時にTMOがテナントミックス事業を実施して、飲食店を中心とした商業棟を開設し、一体的な運営を行っています。
 毎週末になると、ライブやダンス、フリーマーケットで賑わう広場には、初年度30万人、昨年度は22万人の来場者がありましたが、これを裏で支えているのもTMOのスタッフです。特に、とんこつラーメン発祥の地として始まったラーメンフェスタや焼き鳥日本一フェスタ、米どころ筑後をアピールする新酒祭りなど、B級ならぬ「美級」のまちづくりの拠点にもなっています。
 *焼き鳥日本一…人口十万人当たりの店数が一番多いことから宣言しました。

■人に優しいまちづくり
 六角堂広場の一角に設けたコミュニティ棟・六角堂プラザは、趣味の講座ちらしやイベント情報を発信するだけでなく、買物などの際に、気軽に休憩やトイレが利用できる市民の憩いのスペースです。この施設は、TMOから委託を受けたNPO・シニア情報プラザが、年末年始を除き無休で運営し、市民からの問い合わせに応えています。
 同所には、ベビーカーや電動スクーターなどを常設し、タウンモビリティ事業を進めています。同事業は、身体が不自由などの理由で家に閉じこもりになりがちな、障害をもつ人や高齢者を自宅から送迎し、ボランティアが付き添うことで安心して自由にイベントや買物を楽しんでもらう来街促進の仕組みです。

■アカデミックな六ツ門大学
 六角堂広場のある六ツ門地区は、駅から約1kmと離れた場所にある商店街です。駅前と異なり、テナントの出店意欲も低いため、空き店舗も20%を超えています。そのため、商店街を超えた枠組みとしてスタートしたNPO活動をベースに、商業者や大学教授、デザイナー、市民らが集まり、学習意欲の高い中高年をメインターゲットとした生涯学習拠点「六ツ門大学」を昨年九月に開校しました。
 本年度は、中小企業庁の商店街等活性化支援事業に採択され、久留米市とTMOが連携して空き店舗を賃借し、三つの講義室や実技室を整備しました。10月6日に開校式を終えた現在、平家物語などの古文書解説やイスラム世界観、テーブルマジック、韓国語講座など、多彩でアカデミックな40講座・250授業には、好奇心旺盛な主婦や70歳を超える若い学生の熱気が溢れています。
 約300人の学生については受講券の提示で、大型店が駐車場を無料(3時間)サービス、商店街が買物時の割引やポイント割増などのサービスを行って連携しています。





このコーナーでは、あきんどPLAZAの読者の方から寄せられた情報を掲載いたします。
商店街で女子高生のチャレンジショップが話題に!

 静岡県富士市の吉原商店街では、商店街の空き店舗に地元の富士市立吉原商業高校の商業ビジネス部(クラブ活動)がチャレンジショップを運営しています。
 オープンは2004年7月24日。吉原商業高校は体験学習の場として、また、商店街は空き店舗の解消と話題性のある店舗の開設で街の活力の回復を願って実現したようです。また、NPO法人の東海道・吉原宿が支援しています。
 店舗名は「吉商本舗」。取扱商品は、駄菓子、雑貨、飲み物、切手、Tシャツなど、女子高生たちのアイデアに満ちたもののようです。
 クラブ活動なので、平日の営業時間は放課後の16:00~18:00、土曜日・日曜日・夏休みは10:00~17:00、となっています。
 当店舗は話題のお店となっていまして、今年9月30日には、静岡朝日テレビで「女子高生のチャレンジ!」というタイトルで吉原商業高校・NPOのタッグの取り組みが30分かけて放送されたそうです。

→詳しくはこちらから。吉商本舗
NPO東海道・吉原宿

以上、NPO東海道・吉原宿の三浦様からの情報でした。




お知らせ

中心市街地活性化シンポジウム2005が開催されます!
NPOまちづくりネットワークTOMネットは、中心市街地の活性化を図るため標記シンポジウムを開催いたします。テーマは「交流人口を増やすまちづくりシンポジウム」です。
日 時 12月1日(木)13:30~16:30
場 所 文京シビックセンター 26階スカイホール
(東京都文京区春日1-16-21)
費 用 1,500円
→詳細はこちらをご覧ください!


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【発行日】2005年11月10日
【発行】全国商店街振興組合連合会 企画支援部
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