<総 論>      
本法は空洞化の進行している中心市街地の活性化を図るため、地域の創意工夫を活かしつつ、「市街地の整備改善」「商業等の活性化」を柱とする総合的・一体的な対策を関係省庁、地方公共団体、民間事業者等が連携して推進することにより、地域の振興と秩序のある整備を図り、我が国の国民生活の向上と国民経済の発展を図ることを目的としています。
 本法に基づいて中心市街地の活性化、特に商業等の活性化を推進していく場合には中小小売商業高度化事業(TMO自身若しくは商店街の組合等がTMOと共同してアーケード、街路灯、駐車場、コミュニティーホール、ショッピングセンター等の整備、商店街等の空き店舗等を商店街に必要不可欠な業種のテナントに対して賃貸する目的で賃借する事業等)を実施することが有効です(A1、A3、A51参照)。
 
中小小売商業高度化事業を実施しようとする場合、市町村が基本計画を作成する際に中小小売商業高度化事業について一定の事項を記載しなければなりません(A14、A21参照)。
 基本計画に記載された中小小売商菓高度化事業について、地元商業の状況に精通すると考えられる一定の者が、中小小売商菓高度化事業に関する総合的かつ基本的な構想であるTMO構想(中小小売商葉高度化事業構想)を作成します(A29、A31、A33参照)。作成されたTMO構想については基本計画に照らして適切なものか等を市町村が判断しその構想が適当である旨の認定を行うことになっていますくA36参照)。この認定を受けた者がTMO(認定構想推進事業者)です(A51参照)。
 市町村の認定を受けたTMO構想に盛り込まれた具体的な中小小売商菓高度化事業を実施しようとする者はTMO計画(中小小売商集高度化事業計画)を作成することとなります(A41参照)。作成されたTMO計画については市町村を経由して通商産業大臣の認定を申請することとなります。その際、市町村はそのTMO計画を検討し上意見を付して通商産業大臣に送付することとされており、送付されたTMO計画について通商産業大臣の認定を受けたうえで中小小売商業高度化事業を実施する運びとなります(A46、A47参照)。
 なお、TMOに期待される役割は中小小売商業高度化事業の実施や推進だけでなく、中心市街地全体をーつのショッピングモールと見立てて、様々な主体が参加するまちの運営を横断的・総合的に調整し、プロデュースすることにあり、現実には多岐に渡りうるものであります(A69参照)。

本法の「中小小売商菓高度化事業構想」、「認定構想推進事業者」、「中小小売商業高度化事業計画」について、本Q&Aではそれぞれ原則として「TMO構想」、「TMO」、「TMO計画」と表記することとします。
 これらの表記によらない場合は法令・基本方針・通知等の引用であるとかそれに類する事情がある場合です。

中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(平成10年法律第92号)
 建設省
通商産業省
自治省
1 法律制定の目的
空洞化の進行している中心市街地の活性化を図るため、地域の創意工夫を活かしつつ、「市街地の整備改善」「商業等の活性化」を柱とする総合的・一体的な対策を関  係省庁、地方公共団体、民間事業者等が連携して推進することにより、地域の振興と  秩序ある整備を図り、我が国の国民生活の向上と国民経済の発展を図る。
2 法律の概要
(1) 基本的考え方
① 市町村のイニシアティブ 
② 「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」が車の両輪
③ 「都市化社会」から「都市型社会」への歴史的転換期に当たっての「都市の再構築」
④ 個店や商店街に着目した「点」・「線」から、「面」的な商業活性化策へ
⑤ 各省協議会等、関係省庁の連携による各種措置の一体的推進
(2) スキーム
① 国が、「基本方針」を作成
② 市町村が基本方針に即して市街地の整備改善及び商業等の活性化を中核として関連施策を総合的に実施するための「基本計画」を作成し、国及び都道府県は助言
③ 市町村の「基本計画」に則って中小小売商業の高度化を推進する機関(TMO)  
 ・民間事業者等が作成する商店街整備や中核的商業施設整備等に関する事業計画を 国が認定し、支援を実施
(3) 主な支援措置
[市街地の整備改善の推進](建設省)
① 公益施設等の用地を確保するための土地区画整理事業の特例制度の創設
② 路外駐車場に係る都市公園の占用の特例
③ 都市開発資金貸付制度の拡充(再開発の種地への低利融資の充実)
④ 地方のまちづくり公社等の指定(中心市街地整備推進機構)
⑤ 地域振興整備公団の業務の特例(土地区画整理事業の施行権能、施設等の整[商業・都市型新事業の活性化](通商産業省)備等)
⑥ 都市計画に基づく事業の推進
[商業・都市型新事業の活性化](通商産業省)
(商業施設の整備、TMOを中心とする商店街整備、都市型新事業立地促進)
① 施設整備等への補助、高度化無利子融資等
② 地域振興整備公団による施設整備、3セクへの出資等
③ 産業基盤整備基金の債務保証、利子補給等
④ 中小企業信用保険の特例(不保限度額の拡大、保険料率の引き下げ等)
⑤ 中小企業設備近代化資金の特例(償還期間を7年に延長)
⑥ 課税の特例(特別償却等)
[その他]
① 地方税の不均一課税を行った場合の地方自治体の減収補填(自治省)
② 地方債についての配慮(自治省)
③ 食品商業集積施設の整備の促進(農林水産省)
④ 旅客・貨物運送事業の円滑化のための許認可手続きの特例(運輸省)
⑤ 電気通信施設の整備の促進(郵政省)
<制定までの経緯>
平成10年2月10日 「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律案」閣議決定
平成10年2月12日 第142回国会へ同法案提出
平成10年5月27日 参議院本会議可決、成立
平成10年6月3日 公布
平成10年7月24日 施行

中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律のスキーム
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