2.基本計画等について

(1)中心市街地(法第2条)

Q4.中心市街地が満たすべき要件は何ですか。
A4  今回の中心市街地活性化対策は、空洞化の危機にある中心市街地を有する市町村を広く対象とするものです。
以下の要件に該当する都市の中心市街地が施策の対象となります。
 タウン・マネージメント機関(TMO)が行う中心的な業務として、
① 当該市街地に、相当数の小売商業者が集積し、及び都市機能が相当程 度相当程度集積しており、その存在している市町村の中心として役割を 果たしている市街地であること。(集積要件)

② 当該市街地の土地利用及び商業活動の状況等からみて、機能的な都市 活動の確保又は経済活力の維持に支障を生じ、又は生ずるおそれがある と認められる市街地であること。(趨勢要件)

③ 当該市街地において市街地の整備改善及び商業等の活性化を一体的に 推進することが、当該市街地の存在する市町村及びその周辺の地域の発 展にとって有効かつ適切であると認められること。(広域効果要件)



Q5.1つの市町村に中心市街地は複数存在しても良いのですか。
A5  中心市街地は、市町村における文化、経済等の中心としての役割を果たしている、市町村の「顔」ともいうべき地域です。したがって、基本的には、1の市町村に複数の中心市街地が存在することは想定されません。
 ただし、合併市、政令市等の特殊なケースの場合については、例外的に市町村に複数の中心市街地が存在することが想定されますが、いわゆる行政区を特別区と同一視するものではありません。


Q6.中心市街地の位置、範囲は誰がどうやって決めるのですか。
A6  中心市街地の位置、範囲は、市町村が作成する基本計画の中に記載されることとなっています。したがって、法律(第2条)、基本方針(一 2)に適合する範囲で、市町村はその裁量で中心市街地の位置、範囲を決めることができます。


Q7.複数の商業集積地を含む範囲を中心市街地に指定することができますか。
A7  中心市街地の中に複数の商業集積が存在しても、地域として一体であり、その連担性が保たれていれば、中心市街地に指定することは不可能ではありません。

Q8 新旧の市街地があった場合に、旧市街地ではなく新市街地の方を中心市街地として選定しても良いのですか。
A8  新旧の市街地が存在し、いずれも要件等に該当する場合は、市町村の判断によって中心市街地の位置、範囲を決定することができます。したがって、新市街地の方が中心市街地とされることも想定されます。


Q9 いわゆるニュータウンを指定しても良いのですか。
A9  ニュータウンのように既存の市街地から明らかに隔離した地域については、一般的には中心市街地の要件には該当せず、今回の中心市街地活性化対策の対象とすることは想定していません。


Q10 中心市街地の面積はどの程度とすれば良いのですか。
A10  中心市街地の範囲は、市町村が作成する基本計画の中に記載されることとなっています。したがって、法律、基本方針等に適合する範囲で、市町村はその裁量で中心市街地の範囲を決めることができます。
 なお、中心市街地内に各市町村の判断により「重点整備地区」のような特別の地区を設けることは否定しませんが、中心市街地の区域設定にあたっては、法律第2条及び基本方針一、2に定められている中心市街地の要件等が遵守されていることが必要です。
 したがって、重点整備地区のような地区を設けるからといって、中心市街地の範囲が、変化するものではありません。

(2)基本方針(法第5条)

Q11 基本方針とはどの様なものですか。
A11  基本方針は、法第5条第1項の規定「主務大臣は、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化に関する基本的な方針を定めなければならない。」に基づいて定められたものであり、基本計画を策定する際及び具体的な活性化事業を行う際のガイドライン的なものです。
 市町村のイニシアティブや創意工夫が活かされるよう、なるべく限定的な条件をつけたりしないよう配慮して作成されています。 


Q12.基本方針にはどの様なことが定められているのですか。
A12  基本方針は、基本計画を策定する際及び中小小売商業高度化事業等を行う際のガイドライン的なものであり、概要は以下の通りです
一. 市町村の基本計画策定の指針
市町村は基本計画を作成する場合は、以下の事項に基づいて作成することが必要である。
1 中心市街地における市街地整備及び商業活性化の一体的推進の意義
 中心市街地は、様々な点で今後も各地域及び我が国全体の発展に重要な役割を果たすべきものであり、その活性化は今日の重要課題。
 中心市街地の空洞化が複合的な要因によることにかんがみれば、市町村は以下の点に留意して基本計画を策定し、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進することが重要。
①地域の特性や住民の意向等を踏まえた中心市街地活性化の目標の明確化

②市街地の整備改善・商業等の活性化以外の事業を含む各種事業の連携と集中実施による相乗効果
 
また、施策を実施する上で基本的な視点となる事項は以下の通り。
①市町村が主体的に取り組むこと

②地域住民の理解と協力を得ること

③民間活力を最大限に活用すること

④市町村を越えた広域的観点からの基本計画相互の整合性や連携の確保にも留意すること
2 中心市街地の位置及び区域
○市町村は以下の要件を満たす中心市街地について位置・区域を設定。
①法一号要件:
(集積要件)
市町村内の他地域と比較して相当数の小売商業者等が集積し、それを核として一定の商圏や通勤圏が形成されていること等
②法ニ号要件:
(趨勢要件)
土地利用、商業活動等の状況・動向を参考に判断し、機能的な都市活動の確保、経済活力の維持に支障を生じ、又は生じるおそれがあること
③法三号要件
(広域効果要件)
当該市町村及び周辺地域の市街地規模・配置・相互関係の現状等から事業の一体的推進が地域の発展に有効かつ適切であると認められること
○また、位置及び区域の設定の留意点として、中心市街地の位置及び区域を設定。
①数 
基本的には一市町村に一区域。ただし合併市町村等については複数存在することもあり得る
②規模 集中的・効果的な取組みが可能となるように、一体性のある適切な広さに設定することが必要。
③各種土地利用計画 整合性に配慮。特に都市計画が設定されている地域については、商業地域、近隣商業地域を含むよう調整。
④境界 対象となる土地の範囲を町界、道路、河川、鉄道等で明確に表示。
3 市街地の整備改善のための事業について
○対象となる事業は
①商業、業務、居住等の都市機能の集積及び再配置を進める土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備事業

②様々な都市機能及び都市活動の基盤となる道路、公園、駐車場、電線類地中化等公共の用に供する施設の整備事業
○事業の選択に当たっては、土地利用や都市基盤の状況、地域住民や事業予定者の意向等を考慮。
 基本計画には、施行中又は5年以内に着手可能な事業について、事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、実施時期等について記載。
4 商業等の活性化のための事業について
○対象となる事業は
①多様な小売業者の集積活性化及び商業施設等の整備をタウンマネージメント的手法等を活用しつつ行う事業

②コミュニティ調和型の事業や新たな事業展開のシーズとなる技術等の市場への導入を支援する事業等の都市型新事業の立地促進を行う事業
○事業選択に当たっては、現に立地している小売商業者の集積状況や新しい事業へのニーズ等を踏まえ、多様な事業手法の組合せや各事業の連携による相乗効果も考慮することが必要。
 基本計画には事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、実施時期等について記載。
ただし、中小小売商業高度化事業については、基本計画に続いて中小小売商業高度化事業構想が作成されることを念頭に置いて、当該事業の趣旨及びおおむねの実施区域を記載。
5 上記3及び4の事業の一体的推進に関する事項
○施策遂行のために市町村において例えば以下のような推進体制の整備に努めることが必要。
①関係部局間の連絡調整会議

②情報収集、窓口業務等を一元的に行う組織

③商工会議所、商工会を始め民間組織との連携を図る協議会等
○また、一体的推進のために以下の点に留意が必要。
①歴史・文化等の尊重やソフト施策との連携を含む創意工夫  

②都市計画との調和や地方公共団体の基本構想等との整合性

③環境等への配慮
6 国等の支援の考え方
 国は統一窓口や関係省庁の連絡協議会等の必要な体制整備を行い、市町 村の主体的な取組みを尊重しつつ、独自性、先進性、熟度等の観点から評 価して総体として優れた基本計画に定められた事業に対して重点的に支援。
 都道府県においても、同様に必要な体制整備を行い、広域的観点から適 切な支援や助言が行われることを期待。
二. その他
 国市町村は、基本計画において必要に応じ次に掲げる事項について定めることができる。また、基本計画に定められた法第四条第四項の特定事業及び同条第五項の中小小売商業高度化事業を実施しようとする者は、当該事業に関する計画が、次の2に掲げる事項に照らして適切なものであるよう定める必要がある。
1 市街地の整備改善のための事業及び商業の活性化のための事業等と一体的に推進する事
  1-1 公共交通機関の利用者の利便を増進するための事業
 中心市街地へのアクセスや中心市街地内の移動の利便性の向上に必要な鉄軌道及びバスの整備とサービス改善、交通ターミナルの整備と機能の高度化等に関する事業。
 それぞれの中心市街地の規模や構造、交通体系等に即して、最も効率的で使いやすい交通システムを選択することが望ましい。

1-2 電気通信高度化事業

 中心市街地における電気通信拠点施設の整備、電気通信システムの開発・普及、電気通信ネットワークインフラの整備、電気通信の人材・ベンチャー育成、地域に密着した電気通信の研究開発の実施等を推進する事業。
 地域の情報化に関する計画と関連性を明確にしておくことに留意。
2 特定事業等の実施についての指針
2-1 商業集積の活性化に関する事業
 中小小売商業高度化事業は、中心市街地の商業集積を一体として捉え、業種構成、店舗配置等のテナント配置、基盤整備、ソフト事業を総合的に推進し、計画的な整備を行うもの。市町村の関係部局間で連絡調整を行うことが重要。タウンマネージメント機関(TMO)については、幅広い関係者が基本的方針の決定に当たるとともに、高度の専門性を有するものを招聘、育成することが望ましい。
 また、商業集積活性化のために、中心市街地の大型店を含んだ商業集積の中に中核となる商業基盤施設又は相当規模の商業施設整備を行う特定商業施設整備事業については、概ね150以上の商店や病院等公益適施設が存在するなどの要件が必要であり、また、資金調達を適切に行うこと等が必要。

2-2 都市型新事業の立地促進のための施設整備事業
   賃貸型の事業場施設、共同研究施設、インキュベーター都市型新事業を実施する企業等の立地促進のための施設整備を行う事業。
 概ね、5事業者程度以上の利用が可能な施設整備事業であり、当該市街地及びその周辺に存在する技術的蓄積等を適切に活用する事業であること等が必要。

2-3 中心市街地食品流通円滑化事業
 商店街の食品小売業の集積や既存食品小売市場のリニューアル等、中心市街地における食品商業集積施設を整備する事業。
 食品小売店舗が5店舗以上集積し、駐車場や休憩場等の消費者利便施  設が一体的に整備されていること等が必要

2-4 乗合バスの利用者の利便の増進のための事業
 中心市街地に存する路線に係る乗合バスについて、運行系統毎の運行回数を増加する事業。周辺商業施設の営業時間、時間帯ごとの施設利用客の多寡や、他の公共交通機関との円滑な連絡に配慮すること等が必要

2-5 貨物運送効率化事業
 共同集配施設を整備しそれを活用して中心市街地における共同集配を行う事業。
貨物の交錯輸送が著しい地域において、既存運送事業者の全部又は大部分の集配を集約して行われる者であること等が必要。

2-6 中心市街地電気通信施設整備事業
 中心市街地において、新しい電気通信技術を利用した情報の受発信が容易に行われ、電気通信の利活用に関する様々なサポートが受けられる施設の整備を行う事業。
 情報通信面における先進的環境が整っているなど、高度な電気通信サービス事業を定着させる上で社会的受容性が高い地域であり、事業主体が幅広い利益を代表したものであること等が必要。